Andrew MacAskill Elizabeth Piper
[ロンドン 8日 ロイター] - 英国で7日に実施された統一地方選は8日に大勢が判明し、スターマー首相の与党労働党が大敗した。政権に対する有権者の怒りの深さが浮き彫りとなった。首相の統治能力への疑念が強まる中、スターマー氏は英国に「変革」をもたらすとの公約実現に向けて闘い続けると強調した。
圧勝した2024年の総選挙からわずか2年で、労働党はかつての工業地域であるイングランド中部・北部など、従来地盤としてきた地域でも支持を失った。
最も議席を増やしたのは、欧州連合(EU)離脱を主導したナイジェル・ファラージ氏が率いる反移民ポピュリスト政党「リフォームUK」だ。同党はイングランドで1000議席以上を獲得し、スコットランドとウェールズでは、独立派のスコットランド国民党(SNP)、プライド・カムリに対する主要野党勢力になる見通しだ。
これまでの結果は、英国の伝統的な二大政党制が多党制民主主義へと分裂していることを裏付けた。アナリストは過去1世紀で英政界最大級の地殻変動の一つだと指摘する。
かつて圧倒的勢力を誇った労働党と保守党は、リフォームUKに加え、左派の環境政党「緑の党」、さらにスコットランドとウェールズで民族主義政党にも票を奪われた。
今回の選挙はイングランドの136の地方議会と、スコットランドおよびウェールズの自治議会が対象で、29年に予定される次期総選挙を前に、世論動向を測る最も重要な機会となる。
英国で最も権威ある世論調査専門家のジョン・カーティス氏は「労働党にとって、誰もが予想した通りの悪い結果か、それ以上にひどい状況だ」と語った。
<決意は揺るがず>
スターマー氏は同党が多数派を維持したロンドン西部イーリングで記者団に「私は退くつもりはない」と述べ、続投の意向を示した。有権者が懸念しているのは自身の指導力ではなく変革の速度だとの認識を示し、英国を変えるために必要な措置を示すと約束した。
また、ウクライナやイランでの紛争によって悪化した生活費高騰問題への取り組みをさらに強化すると述べた。
このメッセージを投資家は好感したようだ。ポンドはドルに対して上昇し、英国債利回りは低下(価格は上昇)した。
しかし、20人以上の労働党議員が公の場や非公式の場で、スターマー氏に辞任時期を示すよう要求。イングランド南西部のサイモン・オファー議員は声明で「この首相ではわれわれの党を次の総選挙へと導くことはできない」と述べた。
一方、スターマー氏の側近らは、同氏に反旗を翻す時ではないと警告した。ヒーリー国防相は、有権者が最も望んでいないのは「党首選という潜在的な混乱」だと述べ、スターマー氏はなお公約を実現できるとの見方を示した。
スターマー氏を退陣させる動きは差し迫っていない可能性もある。同氏が退陣した場合の有力な後任候補であるグレーター・マンチェスターのアンディ・バーナム市長とアンジェラ・レイナー前副首相は、まだ党首選に出馬できる立場になく、他の対抗馬も現時点で首相に反旗を翻す意思はないとみられる。
<新興政党、二大政党制を分断>
ファラージ氏はこれまでの結果について「英政治における歴史的な変化」を示すものだと評した。
労働党はイングランド北部グレーター・マンチェスターのテームサイドで約50年ぶりに議会の支配権を失った。改選対象となっていた労働党の14議席をリフォームUKが全て奪った。近隣のウィガンでも、労働党は50年以上にわたって議会を支配してきたが、改選対象の自党20議席を全てリフォームUKに奪われた。リフォームUKはさらに、首都ロンドン東部のヘイバリングで43議席中30議席を獲得し、同党として初めてロンドンの特別区で議会の支配権を握った。
政権与党は任期途中の選挙で苦戦することが多いが、世論調査専門家らは労働党が失う議席数について、1995年以来の規模になる可能性があると予想している。
8日夜までに、リフォームUKはイングランドで1151議席を増やした。労働党は1015議席を失い、保守党は466議席減となった。