鍵となるのは「慢性炎症」と「菌血症」の2つのメカニズム

歯周病と心血管疾患の関連は、実はかねてから指摘されてきた。アメリカ心臓協会は12年の時点で、両者の関連について科学的見解をまとめている。その後、欧州や日本でも長期追跡型の大規模研究が蓄積され、歯周病を有する人で心血管疾患の発症率が高い傾向が一貫して報告されてきた。

喫煙や高血圧といったリスク因子を統計的に調整してもこの関連は消えない。歯周病が生活習慣の「結果」ではなく独立したリスク因子である可能性があるということだ。

日本歯周病学会も歯周病を全身疾患のリスク因子として位置付け、医科と歯科の連携を提唱している。

では、歯茎の炎症がどのようにして心臓や脳に影響を及ぼすのか。鍵となるのは「慢性炎症」と「菌血症」の2つのメカニズムである。

歯周病が進行すると、歯と歯茎の間にある「歯周ポケット」が深くなり、そこに細菌が繁殖する。炎症によって歯茎の防御機能が低下すると、細菌や炎症性物質が血液中に入り込みやすくなる。歯磨きや食事などの日常的な刺激でも、細菌が血中に侵入する「菌血症」が起こり得る。

これが長期間にわたって繰り返されると、血管の内壁が慢性的に刺激され、動脈硬化が進行する。炎症性物質は血管壁にプラーク(脂肪の塊)を形成しやすくし、それが破裂すれば心筋梗塞や脳卒中を引き起こす。つまり歯周病は、全身の血管を「炎症状態」に置き続ける火種となるのだ。

負のスパイラル
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