クルーズ船での集団発生が報じられると、ネット上ではパンデミックが起きるのではないかと懸念する声が溢れた。だが、専門家がパンデミックの脅威を評価する際、ウイルスの致死率はほとんど考慮されない。重要なのは、患者の症状が悪化して動けなくなる前に、他人にうつすことが可能かという一点に尽きる。

ハンタウイルスはこの点において条件を満たしていない。約50種あるハンタウイルスのうち、唯一ヒト同士で感染するアンデス型でさえ、その感染力は極めて低い。何百人もの人々が密集して暮らすクルーズ船という「最悪のシナリオ」であっても、感染は稀で、ごく親密な接触があった人に限られていた。

タフツ・メディカルセンターのゾーイ・ワイスは、「パンデミックを起こしやすい病原体は、感染者が動き回り、社会的なつながりを保てる期間に感染力を維持するものだ」と説明する。「新型コロナウイルスは、発症前や軽症の状態でも感染を広げるため、封じ込めが困難だった」。ハンタウイルスはその真逆だ。

ここに、致死率が予期せぬ「封じ込めの武器」となるパラドックスがある。ただし、その関係は単純ではない。エボラウイルスのように、50〜70%の致死率を持ちながら、看病する人々を通じて血液や体液で広がるケースもあるからだ。「致死率がパンデミックを抑制するのは、重症化によって感染者が移動したり他者と交流したりする時間が奪われる場合に限られる」とワイスは言う。

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