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Scott Murdoch Yantoultra Ngui

[シドニー/シンガポール 30日 ロイター] - アジアの起債市場が活況だ。米ドル依存からの分散へという構造的シフトが加速していることが背景にある。中東情勢の緊迫化で3月初旬に一時停滞したが、すぐに盛り返した。投資家は選別的ながらも積極的な姿勢で、高品質銘柄を中心に需要は旺盛だ。

起債は米ドル建てが依然主流だが、現地通貨建ても増えている。年初来の米ドル建て起債額はディールロジックによると1326億ドルで2.5%増。一方、現地通貨建てはLSEGのデータで1兆3700億ドルを突破しており、過去最高だった2025年(4兆7600億ドル)に続き、記録的な年となるペースで推移している。

内訳を見ると、香港ドル建ての起債は約17%増の148億米ドルと、年初来としては最高、シンガポール(S)ドル建ては3.7%増の55億6000万米ドルと12年ぶりの高水準となっている。ディールロジックによると、豪ドル建て債も約30%増の1430億豪ドルと過去最高を記録した。

DBSの投資銀行部門グローバル責任者、クリフォード・リー氏は「ドル一辺倒から少しでも分散化を図ろうとする動きから、Sドル、オフショア人民元、豪ドルといった現地通貨への関心がより顕著になっている」と指摘。「現地通貨が堅調に推移するとの期待も要因の一つだ」と述べた。

アシャーストのグローバル・ファイナンス・ファンド・再編責任者兼アジア地域責任者のジニ・リー氏は、「25年にアジアの債券は多くの先進国債券市場を上回るパフォーマンスを示した」と述べた上で、投資家が地理的な意味だけでなく、通貨の点でも分散化を図っていると指摘した。

ただ、投資対象は厳しく選別されている。

フラートン・ファンド・マネジメントのクライアント・ポートフォリオ・マネジャー兼マネジングディレクター、カイリー・ソー氏は、「リスクとリターンのバランスが改善した現地通貨建て債券市場へ選別的に資金を振り向けている」と語る。

「大手投資適格銘柄、セクターリーダー、明確な戦略的または政策的重要性を有する事業体など、質の高い事業債発行体が最も選好される一方、財務内容が弱く、ベータ値が高い小規模な発行体に対してはより慎重になっている」と述べた。

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