Clara Denina Pratima Desai Melanie Burton
[ロンドン 30日 ロイター] - 人工知能(AI)インフラ投資や防衛支出の増加、高騰したテック株からの資金移動が相まって、鉱業・金属セクターの株式に数年ぶりの急ペースで資金が流入している。大手の資産運用担当者からは、同セクターの「スーパーサイクル」到来を予想する声もある。
調査会社ETFGIがロイター向けに集計したデータによると、鉱業株の上場投資信託(ETF)は3月31日時点の運用資産残高が874億ドルと、前年同期の370億ドルから倍以上に増えた。
鉱業株は第1・四半期に82億4000万ドルの買い越しとなり、トランプ米大統領の関税措置への懸念から25億2000万ドルの売り越しだった前年同期から約108億ドル反転した形だ。
石油・天然ガスおよび農業セクターにも大量の資金流入が起こっており、有形資産への資金循環は史上まれに見る急ペースで進んでいる。
ブラックロックのポートフォリオマネジャー、エビー・ハンブロ氏は、高騰したテック株から有形資産への資金循環が始まっており、「コモディティースーパーサイクルの初期段階」だと指摘した。
モーニングスターの米ハイテク株指数は第1・四半期に9%下落。これに対し、世界の2大鉱業企業であるBHPとリオ・ティントの株価は今年、過去最高値を更新した。
ハンブロ氏は、電力網インフラ、データセンター、電気自動車(EV)、充電ステーションなどへの設備投資が急増しており、経済が「資材集約型」の色彩を濃くしていると指摘した。
2000年代には中国の都市化が鉱業株ブームをけん引したが、今回のサイクルではAI、電動化、防衛など幅広い分野にわたって世界的な分散が進んでいるため、需要は「当時よりずっと強固で底堅い」とハンブロ氏は語った。
ただ、金属市場は世界の株式・債券市場の中で比較的小さいセクターであり、鉱業、精製、運輸などでボトルネックが生じれば相場急変動のリスクがあると、アナリストや投資家はくぎを刺している。
<ゴールドより工業金属>
金属の中でも資金流入が多いのは工業金属で、3月には銅ファンドに1億9800万ドルが流入した一方、金(ゴールド)は高値で利益確定の売りが出ている。3月はバンエック金鉱株(GDX)ETFだけで7億1000万ドルが流出した。ただ、年初に比べると依然として約10億ドル増加している。
イランを巡る紛争を受け、投資家は伝統的な安全資産である金に資金を逃避させるよりも、エネルギー安全保障やインフラ投資といった実体経済が動いて銅、鉄鋼、レアアースなどの需要が増す可能性に賭けているようだ。