Takaya Yamaguchi Noriyuki Hirata

[東京 1日 ロイター] - 政府・日銀が30日に実施した円買い/ドル売り介入は、株安・債券安・円安が同時進行するトリプル安が誘発した。さらに円安が進めば金利上昇を招き、米金利にも波及しかねない。日銀による今春の利上げが封じられ、局所的に円安を抑え込んだ今回の対応は、こうした悪循環を回避する狙いがあったとみられる。市場は連続介入に身構えている。

<異例の退避勧告>

「いよいよかねてから申し上げてきた断固たる措置を取るタイミングが近づいている」――。

片山さつき財務相は30日、財務省内で記者団にこう述べ、投機的な動きを強くけん制した。関係者によると、当初は登庁する予定はなかったが、トリプル安に見舞われ、急きょ対応に追われたという。

片山財務相の記者対応後、財務省の三村淳財務官は「これは最後の退避勧告だ」と語気を強めた。投機筋に対し、表立って退避を促すのは異例だ。

政府内には「(介入によって)実需の取引に影響を与えるわけにはいかない」(関係者)との見方もあった。異例の退避勧告に踏み切り、なお残る投機を抑える道筋をつけた形だ。

<金利急騰の記憶>

30日の東京株式市場は日経平均株価が続落し、節目の6万円を割り込んで取引を終えた。一方、長期金利の指標となる新発10年債利回りは一時2.535%と、1997年6月以来の高水準となった。

金利動向を巡っては、ベセント米財務長官から厳しい視線を向けられた年初の急騰劇が記憶に新しい。市場には「日銀とFOMC(米連邦公開市場委員会)を受けて金利上昇に弾みがつきやすいタイミングだった。(介入は)トレジャリーへの波及を警戒しての対応だろう」(国内証券)との見方がある。

政策金利の正常化をうかがう日銀は、中東紛争の影響に見極めが必要として当初有力視された4月の利上げを見送った。利上げの遅れに伴う金利先高観もくすぶる。

「(今春の)利上げが封じられ、円安には局所的対応を取るしかない亅と、前出と別の政府関係者は語る。

<連続介入身構え>

三村財務官は1日、足もとの為替市場はなお投機的との見方かとの問いかけに対し、「変わらない」と述べた。

5月の連休​中には、アジア開発銀行(ADB)の年次総会や日中​韓3カ国と東⁠南アジア諸国連合(ASEAN)の財務相・中央銀行総裁会議に出席。財務相らとともに不在となるが、「大型連休はまだまだ序盤」と、必要に応じて対処する姿勢は崩していない。

「3営業日以内の介入は1回のカウントというIMF(国際通貨基金)の暗黙のルールがある。きょうか4日にも入るんじゃないか」(民間シンクタンク)と、市場は、通貨当局の連続介入に身構える。

原油先物市場への介入に打って出るかも今後、焦点となる。

三村氏は、一般論と断ったうえで「原油先物取引についても執行体制は常に整えている」と記者団に語った。中東紛争に伴う先物相場の乱高下に介入すれば史上初となる。

(山口貴也、平田紀之 編集:久保信博)

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