まず、他県から応援で来た県警が1つのグループをつくり、1つの検案台にスタンバイしています。
そこに自衛隊がご遺体を搬送してきます。警察官がまず泥だらけのご遺体を撮影し、その後、泥を洗い流してから服を脱がせ、顔や身体的特徴、傷、身元確認につながる運転免許証など持ち物の写真を撮影し、記録します。
解剖はできませんでした。東日本大震災では死者数が多かったこと、解剖をする設備や環境が整っていなかったことから、運ばれてくるご遺体はほぼすべてが検案、つまり外表検査のみで死因を判断しました。
頭からつま先までみて、まぶたをひっくり返して裏を確認し、口や鼻、耳、肛門の中もみていきます。身体に注射針を刺して体内の出血の状況もみます。運ばれてきたのは、ほとんどが津波で亡くなったご遺体と考えられましたので、津波で亡くなったと判断して矛盾がないかを確認していくイメージです。
ただし、怖いのは、殺人などの事件によって亡くなった方を見逃してしまうことです。
実際、他県では震災に乗じた火事場泥棒的な殺人事件が確認されています。殺人や傷害致死で亡くなった可能性を否定し、かつ津波で亡くなったと判断するために、ご遺体お一人あたり15分ほどという短い時間ではありますが、できる限りの検査をして死因をつけていきました。
すべての所見を取り終わったら、警察官が衣類や持ち物をまとめ、ご遺体を安置する場所まで自衛隊に運んでもらいます。その間に、私は死体検案書を作成。その後は、歯科医の先生方が歯科所見を取り、記録していきました。
次のページ