遺物の中で注目すべきは?
特に注目すべきは、車輪を含む馬車や戦車の部品だ。これらは目的地到着後の陸上輸送を支えるための装備であったと考えられる。ローマ帝政期のフィブラ(留め金)や水浸しとなった木板の存在により、研究者たちは遺物の年代をさらに絞り込むことができた。
科学的年代測定と遺物分析の結果、この輸送は西暦16~45年頃のものとされた。考古学者たちは、この物資が北方の集団に対する監視と防衛において重要な役割を果たしていた、アーレ川沿いに位置するローマの軍事拠点ウィンドニッサへ向かっていた可能性が高いと考えている。
この船は、かつて古代の港エブロドゥヌムが存在したヌーシャテル湖の南岸(現在のイヴェルドン・レ・バン)から出航した可能性がある。スペイン産アンフォラの存在は、アルプスを越えるルートがローマの軍事インフラを支える長距離供給網の一部であったことを裏付ける証拠だ。
しかし、この発見には多くの疑問が残されている。船体の痕跡は見つかっておらず、沈没の状況を再現することは困難だ。そのため、沈没の正確な原因も不明のままとなっている。
このような発見はアルプス以北の内陸水域では極めて稀な事例だと州当局は述べている。現在は、木材や革の安定化、陶器の洗浄、金属製品の保護など、遺物の保存処理が進められている。
保存処理が完了すれば、引き上げられた遺物はヌーシャテル考古学博物館で展示される予定だ。