<ビクトリア朝時代の歴史ある住宅が多いイギリスでは煙突が残るものも多いが、重厚で立派で頑丈なこの不要物がどうなっているかというと…>

僕は以前にイギリスが崩壊しつつあると書いたが、それが今や自分の身にも降りかかっている。

イギリスの住宅はかなり多くがビクトリア朝時代のものであり、僕の住む通りも例外ではない。

どの煙突からも煙が出ているのを見たことはないが、近くのとある一軒は薪の暖炉を使っているらしく、冬になると独特の匂いが漂ってくる。

石炭は1970年代以降急速に、ガスのセントラルヒーティングに置き換えられた。家庭用の石炭販売は段階的な廃止期間を経て、2023年に完全に禁止された。僕は昨年、規制を免除されているロンドンの歴史あるパブで暖炉の暖房を目にしたが、そこでも「無煙炭」を使わねばならないようだった。

暖炉で赤々とした燃えさしを見るのは気分がいいし、体に心地よく染み込むような「ひと味違う暖まりかた」ができるのは確かだが、これは本題からはそれる。

重要なのは、多くの家のてっぺんに、もはや何の役にも立たない巨大煙突が鎮座しているという点だ。

暖気は逃げ、雨は入る
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