素晴らしい脚本に支えられて笑いのセンスを存分に発揮
今回ダーンは素晴らしい脚本に支えられて笑いのセンスを存分に発揮し、キレのある演技を披露する。アーネットとの相性も抜群で、観客は夫婦の掛け合いに引き込まれ、いつしか2人を応援している。
家庭のためにアスリートのキャリアを犠牲にしたことを悔やんできたテスの物語を、笑いの要素が邪魔することもない。一度は諦めた夢に手を伸ばし、そこに新たな意味を見いだす彼女の生き方は、心に響く。
対するアーネットも負けてはいない。夫というアイデンティティーを突然失い再び自分探しをすることになった男を、丁寧に掘り下げて演じている。アレックスは人生と自分を愛することを学び直さなければならず、観客はその旅路に寄り添うのだ。
全体として笑いと涙のさじ加減が絶妙で、甘さの中に苦みを、苦みの中に甘さをにじませる。脚本は悲劇にも喜劇にも偏りすぎず、俳優と監督が最適な空気感を探る余地を残した。そんな脚本の良さが引き立つ仕上がりだ。
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