そこには人生を変える体験が待っていた
ニューヨーク郊外に住む会社員のアレックス(アーネット)と専業主婦のテス(ローラ・ダーン)は離婚の危機にある。 経緯ははっきり描かれず、観客はいきなり中年夫婦の離婚騒ぎに放り込まれる。
アレックスは高級マンションを出て市内の狭いアパートに移る。ある晩ふとコメディークラブに足を運ぶも、入場料が払えない。無料で入れてもらおうと彼は一計を案じ、素人でも出られるイベントに飛び入り参加する。
すると、そこには人生を変える体験が待っていた。失意のアレックスはスタンダップコメディーに挑戦し芸人仲間と交流することで、癒やしの旅路を歩んでいく。
クーパーは前の2作で、文字どおり「大舞台」を演出した。『アリー』ではロックの祭典グラストンバリー・フェスティバル、『マエストロ』ではイギリスのイーリー大聖堂と、とびきりスケールが大きく華やかなステージで観客の目をクギ付けにした。
『これって生きてる?』のコメディークラブは、打って変わって質素な舞台だ。今回クーパーに与えられたのは、マイクが1本ぽつんと立っているだけの幅2メートルに満たない地下のステージなのだ。
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