午前5時、ソーシャルメディアには早起きして朝の時間を有効活用している人々の誇らしげな投稿が並ぶ。水風呂に(起床後すぐに頭に思いついたことを書き出す)モーニングページ、朝焼けを見ながらのランニング──。

高い能力を発揮できている人とそうでない人の違いは早起きしているかどうかだ、と言う人もいる。アップルのティム・クックCEOや起業家のリチャード・ブランソン、ハリウッド俳優のジェニファー・アニストンのような早起きセレブの存在が、その主張に説得力を与えている。

朝型人間のほうがキャリアアップに有利であることを示す研究もあり、モーニングルーティンが成果を生む証拠だと解釈されることも多い。だが科学的に見ていくと、話はそう単純ではない。早朝5時の起床と自分の体内時計がどうしても合わない、という人は少なくないからだ。

ここで重要な役割を果たすのが、個々人の体に備わっている生体リズム「クロノタイプ」だ。クロノタイプはどんな時間帯に自然に頭が冴える(もしくは眠くなる)かということであり、朝型の人もいれば夜型の人も、その中間型の人もいる。

朝型の人は朝早く目覚め、すぐに頭が働き始める。夜型の人は、遅い時間にならないとエンジンがかからず、最も波に乗るのは夜だったりする。そしてクロノタイプを決めるのは主に遺伝であり、そう簡単には変えられない。

研究によれば、朝型人間と夜型人間の間には明らかな違いがあるという。朝型の人は学業成績が良く、たばこや酒やドラッグなどの摂取も少なく、運動習慣を維持している傾向がある。夜型の人は一般的に燃え尽き症候群になる率が高く、心身の健康にも問題を抱えやすいとされる。

その理由として考えられるのも、その人にとって自然な生活リズムと、一日の生活スケジュールとの間のずれだ。これを「社会的時差ボケ」と呼び、学業成績や生活の質が下がる原因になるとされる。

早起きセレブ、カーダシアン家の母クリス・ジェンナーの朝は4時半始まり

現代社会は午前中の比較的早い時間に始まるスケジュールで動いている。そして自分のクロノタイプが仕事や学校のスケジュールに合っていれば、パフォーマンスの維持は容易になる。つまり朝型にとって有利な環境なのだ。

糖尿病や高血圧や肥満といった健康上の問題を招く恐れも

その一方で夜型や中間型の多くの人は、自分にとって自然な生活リズムより早い時間に起床することを余儀なくされている。これは睡眠負債の蓄積につながるほか、集中力が落ちたり、ストレスがたまったり、前向きな気分になれない原因にもなりかねない。

自然な睡眠のリズムに従わずに生活すれば、糖尿病や高血圧や肥満といった健康上の問題を招く恐れもある。

もちろん、早起きや朝活に挑戦したら効果を実感できたという人もいるかもしれない。だがこれは、一時的なやる気や関心が反映されただけということも多い。

ちなみに自分が朝型か夜型かの判断の役に立つのは、布団に入ってから寝入るまでにかかる時間だ。30分以下なら、就寝時間は自分に合っていると言える。1時間以上かかるようなら、もっと遅いクロノタイプなのかもしれない。
 

The Conversation

Christoph Randler, Professor, Department of Biology, University of Tübingen

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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