アルツハイマー病や認知症ケアで注目されがちなのは「画期的な新薬」だが、いま本当に必要とされているのは、治療をいかにスムーズに、必要な人へ届けるかだ。そこで期待されているのがAIだ。
AIは、早期のリスク検知、治験の高速マッチング、複雑な薬の副作用の監視など、認知症ケアの「目に見えないインフラ」を自動化することで、アルツハイマー病や認知症ケアのあり方を変えつつある。
1. 早期の予兆を捉える
アルツハイマー病治療における最大の難題の1つは、タイミングだ。新薬は疾患の極めて初期段階で最も効果を発揮するが、多くの患者やその家族が助けを求めるのは、記憶障害が深刻化し、すでに脳にダメージを負った後だ。
AIは、人間の医師が見逃すような微かな「予兆」を察知する。
・例1:目の分析
シンガポール国立大学の研究チームは、AIが目の写真から「網膜年齢」を算出するツールを開発。実年齢より高いと認知機能低下のリスクが25〜40%高まることがわかった。
・例2:音声の分析
米国立老化研究所(NIA)の助成を受けた2024年の研究では、AIが話し方を解析することで、医学的診断が下る最大6年も前に、78.2%の精度でアルツハイマー病を予測した。
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