警鐘

今世紀のグローバルな海面上昇に対して氷河の変化がもつ重要性は、科学界においても最近まで広く認識されていなかった。

1995年、IPCCの第2次評価報告書は「今後50─100年にわたり、グリーンランドおよび南極圏の氷床の範囲に関してはほとんど変化しないと予想される」としていた。

IPCCは、2007年の第4次評価報告書において、「(新たなデータによれば)グリーンランドおよび南極圏の氷床の喪失が、1993年から2003年にかけての海面上昇に影響した可能性が非常に高い」としつつ、公表されている研究が不足していることを理由に、将来的な氷床融解の影響は盛り込まなかった。

「最初のうちは皆、『グリーンランドと南極の氷床についてはとりあえず安定しているものと想定しよう』と考えていた」。NASAゴダード宇宙科学研究所の気候学者ギャビン・シュミット氏はこう話す。今日でさえ、「そもそも氷床がどう動くかという力学について、信頼できる何らかのシミュレーションを与えるような気候モデルは非常に少ない」という。

科学的な曖昧さは政治問題になると、コロラド大学教授でIPCC報告書の執筆者でもあったタッド・フェファー氏は指摘する。トランプ米大統領をはじめとする気候変動懐疑論者は、気候変動に関する科学について、実証性に乏しく、政治的動機による化石燃料産業への攻撃だとして批判している。トランプ氏は昨年、約200カ国が参加する地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から米国は離脱すると発表した。

「一般の人々は、特に反科学的な見解に影響を受けている場合、こうした曖昧さを、『科学者たちは自分が何をやっているのか分かっていない』と解釈してしまう」とフェファー教授は語った。

(Alister Doyle記者、Elizabeth Culliford記者、Lucas Jackson記者 翻訳:エァクレーレン)

[グリーンランド 19日 ロイター]
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