Krisztina Than Anita Komuves
[ブダペスト 12日 ロイター] - 12日に実施されたハンガリーの議会(一院制、定数199)総選挙で親欧州連合(EU)の新興野党「ティサ(尊重と自由)」が圧勝し、16年にわたり政権を担ってきたオルバン首相(62)は敗北を認めた。同氏を支持するロシアやトランプ米政権にとって痛手となりそうだ。
オルバン氏は「非リベラル民主主義」を掲げて欧米の保守派から称賛されたが、国内では景気停滞や国際的な孤立、少数グループへの富の集中にうんざりした有権者の支持を失った。
開票作業をほぼ終えた時点で、中道右派のティサは138議席を獲得する見込みで、オルバン氏率いる与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」に勝利。オルバン政権が行った憲法改正を覆し、汚職対策を講じるために必要な3分の2以上の議席を確保する。
オルバン氏は「選挙結果は痛みを伴うものだが、明白だ」と述べ、敗北を認めた。
国民の多くは今回の選挙が同国にとって重大な分岐点になるとみていた。選挙管理当局によると、投票率は79%以上に達し、過去最高を記録した。
ティサのマジャル党首(45)はブダペスト中心部で数万人の支持者を前に勝利を宣言。「ティサとハンガリーがこの選挙に勝利した」とし、「われわれは共にオルバン体制を打倒し、共にハンガリーを解放し、祖国を取り戻した」と述べた。
同氏は今回の選挙を「東西の選択」と位置づけ、選挙戦ではオルバン氏とEUに対する対立姿勢がハンガリーを欧州の主流から一層遠ざけると警告。一方、オルバン氏はティサがハンガリーをロシアとの戦争に引きずり込むと主張していた。
オルバン政権の敗北はハンガリーだけでなく、EUやウクライナなどにも重要な意味を持ち、オルバン氏が阻止していたウクライナへの900億ユーロ(1050億ドル)の融資に道が開かれる可能性がある。
ユーラシア・グループのマネジングディレクター、ムジタバ・ラーマン氏は、マジャル氏が汚職を一掃し、フィデスの忠誠者を要職から排除するという公約を果たすだろうと述べた。
「ウクライナに関しては900億ユーロの融資に道を開くことに同意するだろう。マジャル氏は選挙前は極めて慎重だったが、フィデスの支持者をなだめる必要がなくなった今、ハンガリーはほとんどの問題において、慎重に欧州の主流へと歩みを進めていくと考えている」と語った。
ウクライナのゼレンスキー大統領はマジャル氏に祝意を示し、欧州の強化や平和と安全の維持のために協力する意向を表明。「建設的なアプローチが勝利することは重要だ」とテレグラムに投稿した。
今回の選挙結果は、オルバン政権による民主主義の後退を理由にEUが凍結していたハンガリー向け資金の放出につながる可能性もある。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「ハンガリーは欧州を選んだ。欧州は常にハンガリーを選んできた」と述べた。
オルバン氏の退陣により、ロシアのプーチン大統領はEU内の盟友を失うことになる。米国を含む西側の右派勢力にも衝撃をもたらす見通しだ。トランプ政権はオルバン氏を公に支持し、先週にはバンス副大統領がブダペストを訪問していた。