[ワシントン 10日 ロイター] - 11日に予定される米国とイランの戦闘終結に向けた交渉で、イラン側はバンス米副大統領との交渉を望んでいたと、複数の関係筋が明らかにした。

関係筋4人によると、イランは米交渉団を率いるバンス副大統領について、⁠トランプ大統領の側近の中で最も反戦的な人物の一人で、誠意をもって合意を模索する可能性が最も高いと考えているという。

米交渉団にはウィットコフ中東担当特使と、トランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏も含まれるが、イラン指導部としては、過去2回の協議が失敗に終わり米国による空爆につながったことから、両氏への信⁠用は薄いと関係筋は話す。

バンス氏が副大統領として、ウィットコフ氏やクシュナー氏よりも政治的な影響力が大きいとの見方もあるという。

あるホワイトハウスの当局⁠者は、イラン側がバンス氏の協議への参加を望んでいることを示唆していたが、その理由は明らかにしなかったと述べた。

一方、2人目のホワイトハウス当局者によると、バンス氏をパキスタンに派遣するのはトランプ大統領単独の決定で、どのような合意を受け入れられるかについても、最終決定はトランプ氏が下すという。

別の当局者は「イランが副大統領と交渉したいという、明らかに組織的なプロパガンダを主流メディアがうのみにするのは⁠笑止千万だ」と述べ、イラン側がバンス氏との交渉を望んだという見方を否定した。

<バンス氏へのリスクと報酬>

バンス副大統領は10日、協議が開催されるパキスタンの首都イスラマ⁠バードに⁠向かう前、記者団に対し「交渉を楽しみにしている。きっと良い結果になるだろう」と述べる一方、「われわれを甘く見るべきではない」とイランに警告した。

さらに、「トランプ大統領が述べたように、イラン側が誠意をもって交渉する意思があるならば、われわれは喜んで手を差し伸べる。しかし、彼らがわれわれを翻弄しようとするならば、それは受け入れられない」と語った。

2028年の米大統領選で共和党大統領候補指名争いの有力候補と目されるバンス氏は、今⁠回の協議で成果を上げれば政治的に追い風となる一方、交渉が長期化、もしくは失敗すればリスクが高まる。

カーネギー国際平和財団の上級研究員スティーブン・ウェルトハイム氏は「この和平交渉がうまくいき、国民に受け入れられる結果になれば、バンス氏のイメージアップにつながるだろう」と指摘。一方で、「バンス氏が戦争の象徴として扱われる危険性もある」との認識を示した。

<イランのガリバフ国会議長>

中東地域の外交官によると、バンス氏が協議で主導的な役割を担うべきだと主張する人物の中には、イランのガリバフ国会議長も含まれる。

ガリバフ議長はアラグチ外相とともに、イスラマバードでの協議⁠でイラン代表を務める見通しだ。

また、政権内の協議に詳しい2人の情報筋によると、ホワイトハウス当局者の中にはここ数週間で、ガリバフ氏を交渉相手として選好する向きもあったとされており、双方が好む相手との交渉となる可能性がある。

ガリバフ氏は保守強硬派ながら、現実的な一面があるとされ、合意を模索する可能性があると米国側は見込んでいるという。

ただ、米国とイランが公に表明している立場には大きな隔たりがあり、交渉のキーパーソンが変わっても、同じ課題に直面することに変わりはないとの見方もある。

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