軍事的優位を政治的勝利にできないアメリカ症候群
これまで著名な方々が、「アメリカという病」について発表してきた。あらためて、この表現を使うことは恐れ多いことなのだが、やっぱりこれは病気としか言いようがない。さもなければ呪いに近い。
「目的より手段を優先する」ことは認知戦では、「相手の作戦を暴露することには成功したが、自国の防衛には失敗した」ということになる。これまでアメリカの調査研究機関は多数の中露イランが行ってきた認知戦やデジタル影響工作を暴き、その組織やネットワークに対処してきた。特に安全保障に関係した機関はそればかりやっていたと言っても過言ではないだろう。
しかし、結果として、それらの活動はアメリカ人を認知の罠から守ることにはつながっておらず、逆に罠にはまるように誘導してしまった可能性がある。それを端的に示す2つの事実がある。
一つは、少なくとも2023年までは偽情報や誤情報の割合はきわめて少なかったこと、もう一つは中露イランが行っている認知戦の影響は検証されておらず、多くはほとんど影響がなかったと評価されていることだ。
偽情報や誤情報の量が少なく、影響がほとんどないにもかかわらず、対策が立案され、実施された。この暴露と対策の実施が逆効果になっていた可能性が高いことは以前の記事で詳しく解説している。
こんなことになってしまった理由は、自国の防衛よりも相手の作戦の暴露を優先したために他ならない。「相手の作戦の暴露を優先する」ということは、自国の防衛の対象と優先度を相手が自由にコントロールできることを意味し、普通に考えて悪手中の悪手だ。