Nailia Bagirova

[バクー 5日 ロイター] - イランの隣国アゼルバイジャンの外務省は5日、イランの無人機(ドローン)4機が領内に侵入し、飛び地のナヒチェワン自治共和国の空港などで少なくとも4人が負傷したと発表した。これを受け、⁠同省はイラン大使館に公式に抗議を申し入れたほか、アリエフ大統領は軍に報復措置の実行を指示。中東の軍事紛争が一段と拡大する懸念が高まっている。

アリエフ大統領は安全保障会議の会合で「無差別、かつ挑発的なテロ行為とアゼルバイジャンに対する侵略は容認しない。軍に適切な報復⁠措置の準備と実行を指示した」とし、「あらゆる敵対勢力に対して自国の力を示す用意がある。イランはこのことを忘れてはならない」と述べ⁠た。

外務省はこれに先立ち発表した声明で「アゼルバイジャン領土へのこの攻撃は国際法の規範と原則に反し、地域の緊張を高める」と非難。こうした事案が地域の緊張を高める要因となっていると指摘した上で、イランに対し早急な説明と再発防止措置を求めた。

イランからのドローン侵入を受け、アゼルバイジャン政府はイランと国境を接している南部の一部空域を閉鎖。同国が⁠発出した航空関係者向け通告(NOTAM)によると、空域は12時間にわたり閉鎖される。  

 イランのガリババディ外務次官は、アゼルバイジャンのメディア「AnewZ」に対し「⁠イラン⁠は隣国を攻撃することはない」と述べ、ナヒチェワン自治共和国を標的にイランが攻撃を行ったとの指摘を否定した。

イラン国営メディアによると、イランのアラグチ外相はアゼルバイジャン外相に対し、アゼルバイジャン領内に着弾した飛翔体についてイランは関与していないと伝え、イラン軍が現在、状況を調査していると説明。イランとアゼルバイジャンの関係悪化にはイスラエル⁠が関与しているとの見方を示した。

アゼルバイジャン当局は現在、侵入したドローンについて調査を実施中。当局によると、ドローンのうち1機はイランとの国境から約10キロメートルの地点にあるナヒチェワン自治共和国の国際空港のターミナルビルに落下。別の1機は近隣の集落にある学校建物の近くに落下した。別の1機により民間インフラに被害が出たが、4機目はアゼルバイジャン軍が撃墜したという。

ロイターが確認した映像には、空港付近で黒煙が立ち上り、ターミナルビル内部の天窓が損傷している様子が映っている。

アゼルバイジャンとイラン⁠の関係は、アゼルバイジャンが北大西洋条約機構(NATO)に加盟するトルコのほか、イスラエルと経済、軍事面での結び付きを強めていることで、以前から緊張した状態にあった。アゼルバイジャンは主要な石油・天然ガス生産国で、カスピ海沿岸のバクーからトルコのジェイハンに至るバクー・トビリシ・ジェイハン(BTC)パイプラインを通してトルコや欧州などに輸出。インフラが損傷すれば、世界的なエネルギー価格が一段と上昇する恐れがある。

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