イラン情勢の緊迫化により日本株市場は大きく揺れ、攻撃開始前の最終取引日である2月27日から3月末にかけて、日経平均株価は約13%、TOPIXも約11%下落しました。ただ、個別銘柄を見ると、その値動きは一様ではありません。

たとえば、個人投資家にも人気の高い任天堂<7974>の場合、同じ期間の下落率は約2%に留まっています。むしろ「強い動きだった」とも言えるのですが、多くの投資家の実感はそれとは異なっています。「任天堂、下げすぎでは?」、そんな声も聞こえてくるほどです。

任天堂の株価

任天堂が真っ先に売られた理由

昨年後半から下落基調にあった任天堂の株価は、イラン攻撃が始まった後、3月16日には一時10,435円まで回復します。しかしその後、月末にかけては約16%も下落しました。この半月だけを見ると、日経平均株価やTOPIXよりも大きく下げています。

「Switch 2」の生産計画を見直し……という報道も市場心理の重しとなったでしょうが、それだけでは、株価の戻り局面でこれほど売られた理由は説明できません。

背景には、2段階の構造があります。

まず、地政学リスクが発生すると、機関投資家はポートフォリオ全体のリスクを一気に引き下げるため、売れる銘柄から売却を進めます。その際、任天堂やキーエンス<6861>のような流動性が高くて含み益のある大型優良株は、真っ先に売却対象となりやすいのです。

つまり、「売りたいものを売る」のではなく「売れるものを売る」。

これらの銘柄は流動性が高いため、初動売りの後は自律反発(行き過ぎに対する警戒感から自律的に値を戻すこと)が入りやすい、という側面はあります。しかしながら、今回の相場の本質はその先にありました。

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優れた株ほど真っ先に売られる
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