<それなのに住居の提供を「政府の責任」と考える日本人の割合は他国と比べて著しく低い>

引っ越しシーズンだが、家賃が高い物件が多く、部屋探しが難航している人もいるだろう。いま賃貸に住んでいるにしても、大幅な家賃値上げを急に通告され、どうしたものかと困り果てている人もいる。高齢者の場合、退去して新しい部屋を探そうにも「貸し渋り」に遭うことがしばしばある。

先日、東京の新宿区で「家賃高すぎ、何とかしろ!」を掲げたデモが実施されたが、大都市の借家世帯では、家賃が生活をさぞ圧迫していることだろう。

2023年の総務省「住宅・土地統計調査」に、借家世帯の「年間収入×月家賃」のクロス統計表が出ている。都内23区の借家世帯だと、数で最も多いのは「年収500万円以上700万円未満、月家賃8万円台」の世帯だ。このグループは、階級値をとって一律に「年収600万円、月家賃8.5万円」と仮定する。年収600万円は手取りだと466万円なので(文末の武蔵コーポレーションのウェブサイト参照)、このグループの手取り年収に占める年家賃の割合は、(8.5×12)/466=21.9%となる。

このやり方で、全てのグループの「年家賃/手取り年収」比率を計算し、各グループに該当する世帯数をもとに、当該比率の度数分布表を作成した。<図1>は、結果をヒストグラムにしたものだ。

newsweekjp20260325021056.png

20~30%くらいがボリュームゾーンかと思いきや、そうはなっていない。最も多いのは、年間の家賃が手取り年収の50%(半分)を超える世帯で、全体の18.2%に相当する。およそ5分の1の世帯が、手取りの半分以上を家賃で持っていかれている。

世帯主の年齢層別に分布を出してみると、「年家賃/手取り年収」比率が半分を超える世帯の割合は、65歳以上の高齢者世帯だと35.4%、25歳未満の若年世帯だと52.3%にもなる。都内23区だと、借家住まいの若年世帯の半数が、手取りの半分以上を家賃支払いに充てていることになる。

単身学生の世帯もあるだろうが、新卒フレッシュマンの世帯も多いはずだ。月家賃8万円(年家賃96万円)で手取り年収が180万円の場合、前者が後者に占める割合は50%を超える。奨学金の返済義務がある場合、自由に使えるお金はわずかしか残らない。家賃を払うために働いているようなもので、「家賃が高すぎる」という悲鳴が上がるのも無理はない。

住居は「自分でどうにかすべき」と思い込む国民