中国・ラオスと国境を接する北部の少数民族たち

現在、東南アジアでも屈指の経済成長を遂げているベトナム。米中対立などを背景としたサプライチェーンの再編により、電子機器や半導体分野で大手グローバル企業がベトナムへの投資を加速させているほか、政府による公共投資が活発で、高速道路や港湾の整備が急速に進む。

2025年のGDP成長率は8%を超え、2026年は2ケタ成長を目指す方針が採択されるなど、政府もさらなる成長に自信をのぞかせている。

もっとも、そうした経済成長の陰で、首都ハノイやホーチミンに代表される都市部とそれ以外の農村部との所得格差は広がる一方だ。特に北部の急峻な山岳地帯で暮らす少数民族は爆発的な経済成長の蚊帳の外に置かれている。

ベトナムは54の民族からなる多民族国家だが、全人口の85%以上を占めるキン族が主に都市部(平野部)に居住する。残りの少数民族の多くが暮らすのは、中国やラオスと国境を接する北部や西部の山岳地帯だ。

農業と牧畜を軸とした自給自足の生活を送ってきた彼らも、近年は教育や医療、電化製品のために現金が必要な社会へ移行してきている。伝統的な自給自足の農業をベースにしつつ、いかに安定した現金収入を得るか。少数民族にとって切実な課題だ。

彼らの強みでもある農業、それを磨いて商品価値を高めようという試みが少しずつ本格化し始めた。その商品作物のひとつが、お茶なのだ。

少数民族の生活の一部にもなっている、古木茶の収穫
少数民族の生活の一部にもなっている、古木茶の収穫 写真:ブイ・タン・ビン
コーヒーショップで「口直しにお茶」