注目すべき中国系のAIスタートアップはまだたくさんある。自律型AIエージェントの開発とメタによる買収で注目を集めたマナスに加え、広告なしの生成AI検索エンジン「秘塔AI搜索」を提供する上海の秘塔科技(ミータ)、23年にマイクロソフト・アジアの科学者によって設立されたステップファン(階躍星辰)、軽量・高性能な言語モデルに注力する清華大学発のAIスタートアップであるモデルベスト(面壁智能)などだ。

前述のカイフー・リーは、AI分野における中国の急成長を牽引する存在だ。北京の200人規模の研究室から生成AIスタートアップ「01.AI(零一万物)」を設立。アメリカの輸出規制で中国企業がエヌビディアの最先端半導体を入手できなくなる前に高性能チップを確保した。09年には中国がこの分野で飛躍できると確信し、企業支援ベンチャー「シノベーション・ベンチャーズ(創新工場)」を設立。以来、中国国内の有望スタートアップのために30億ドル以上を調達してきた。

リーは先日開かれたニューヨーク経済クラブのイベントで、自身の講演や研究、著作を生成AIロボットに学習させていると打ち明けた。リーそっくりの風貌をしたこのロボットは、いずれ本人の代わりに世界中を駆け回り、講演を代行するかもしれないという。

中国発のこうした独創性は以前なら驚きだったが、今ではほぼ予測どおりと受け止められつつある。新たなAI時代において、問題は画期的なイノベーションが起こるかどうかではなく、次にどこで生まれるのかだ。ディープシークか、オープンAIか、あるいは全く予想外のどこかなのか。

【動画】中国にあるAIプログラマーの「村」の内部