だがディープシークの出現は、中国のAIが単なる追随ではないことを示した。そればかりか、中国がEVやバッテリー、ドローン(無人機)、ロボットなど幅広い先端分野で主導権を握る可能性も浮き彫りにした。

象徴的なシーンとして拡散されたのは、ディープシークの創業者である梁文鋒(リアン・ウエンフォン)が、25年に習近平(シ ー・チンピン)国家主席主催のテクノロジー・シンポジウムに参加した際、会場の人民大会堂の最前列で、アリババのジャック・マーや騰訊(テンセント)のポニー・マーと並んで座る光景だった。中国が次世代のAI人材を、世界の技術競争を担う主役として扱い始めたことを示す場面だった。

衝撃はさらに広がった。25年12月にはメタが、中国系AIスタートアップのマナスを20億ドル超で買収した。強力な自動化技術を狙った動きだった。続いて26年1月上旬には、中国のAIスタートアップである智譜AI(チープーAI)と、ミニマックス(稀宇科技)が香港証券取引所に上場し、それぞれ5億6000万ドル、6億2000万ドルを調達した。

低コスト手法を業界に公開

中国のAIの潜在力を最も早くから見抜いていた1人がカイフー・リー(李開復)だ。AI

投資家であり、マイクロソフトとグーグルで幹部を務めた彼は、30年以上にわたりシリコンバレーと北京の両方でテクノロジー界に関わってきた。リーは早い段階から、中国は「この重要な技術においてアメリカに対抗できる唯一の国家的存在」だと主張していた。

データは現代の石油