だから(映画の)流通やコンテンツの偏りが原因で心が激しく痛めつけられることはない。不安にはなっても、極度の苦痛は感じない。胸が苦しくなるのは、その偏りが人々のニュースの受け取り方とニュースの内容に及ぼす影響を考えたときだ。
ミネアポリスの街頭で抗議活動に集まった人たちが少なかった、というより少なすぎた。あり得ないよ。だから今のような状況になった。
しかし、歴史を引き合いに出して問題点を指摘するのは相変わらず難しい。「この人たちの言動はあの時代と似ている」などと言うと、激しく反発されるからね。過去との類似を指摘するのが逆効果になるのなら、別のやり方を探すしかない。
──AI(人工知能)は創造的なツールか。それとも脅威になるのか。
どちらとも言えないな。いま監督作を準備している。キャラクターのイメージをチームに伝えたくても、適当な画像が見つからなかった。知人がぴったりの画像をインスタグラムで見つけてくれて、キャスティングディレクターにそれを見せた。「この人を探せるか?」と。
2日後、その女性はAI画像だと分かった。この映画ではほかにはAIを一切使わないが、この役はAIにやらせてもいいかなとさえ思った。どんなことになるか興味があった。
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