ヒロインはSMがお好き

ジャクリーン・デュラン(『バービー』)は時代考証を無視して独創的な衣装を創造した。特にエドガー(シャザド・ラティフ)と結婚し、彼の屋敷に移り住んだ後のキャサリンの衣装は素晴らしい。

エドガーの屋敷は退廃的な富の象徴だ。豪奢だがインテリアは薄気味悪く、なぜか石膏で作った人間の手が暖炉の上に何百本も飾られている。

また寝室の壁紙には、キャサリンの皮膚が血管やそばかすまでリアルに再現されている。美術を担当したスージー・デイビースの才能が光る、デービッド・クローネンバーグ風の壁紙だ。ただし、壁はヒースクリフが1度なめるだけで、物語に全く絡まない。

語り手である家政婦ネリー(ホン・チャウ)の扱いが雑なのも残念だ。反目するアーンショウ家とリントン家の間で揺れるため彼女の語りは信用できないが、本物の慈悲の心を持つ貴重な登場人物だ。

そのネリーが、今回は単にキャサリンとヒースクリフの恋路を阻む邪魔者で、後半は完全な悪役になる。嫉妬しているのか、雇い主のエドガーに義理立てしているのか、その動機もはっきりしない。

とはいえ『嵐が丘』は気軽に楽しめる映画だ。バズ・ラーマンの作品やソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』にうっとりした観客は、きっと気に入るだろう。

コルセットは性的な小道具