「イヤクルはアプリを通した出品者と購入者のマッチングサービスで、手本にしたのはフリマアプリのメルカリ。医薬品業界はDX化が遅れているため、使いやすいUI/UXを意識した」と佐孝は言う。会費や利用料はかからず、出品価格には薬価の10%が手数料として上乗せされる。

佐孝が拠点とする北海道では都心ほど薬局が密集しておらず、地域で使わない医薬品を交換し、消化するには限界があった。一方イヤクルでは、購入された医薬品は郵送で全国各地に届く。物流インフラを活用することで、薬の供給が困難な地域への貢献という新たな価値も生み出した。

「『手に入らない薬をイヤクルで調達し、患者さんに渡せた』と感謝の連絡が利用薬局から多く寄せられ、地域の健康を支えるという副次的なメリットを実感している」

医療現場の限界と希望

現在イヤクルへの登録薬局は500店舗に上る。その主な利用店は不動在庫が経営上の死活問題になり得る個人店だ。また、薬局以上に大量の不動在庫と廃棄医薬品に頭を抱えるのが卸売業者だが、こちらでは思うように広がっていない。

「過去には、卸売業者が抱える500万円相当の不動在庫が、数カ月で全て購入された例もある。サービスを普及させ、医薬品が一つも捨てられない社会を目指したい」

「薬剤師にできること」には限界が・・・