映画では、最初は退屈そうに教練をこなしていた子どもたちが繰り返される愛国教育を通じて少しずつ変わっていく様子が克明に記録されている。授業時間が愛国行進や手榴弾投げ競技に充てられ、学力低下を憂慮する緊急職員会議の場面も撮影されている。

タランキン氏は英紙ガーディアン(3月2日付)に「プーチン政権は彼の政治に忠実な世代を育成するためにあらゆる手段を講じている。この映画は子どもたちが教育を終えた時、プーチン支持の新たな世代が誕生することを浮き彫りにしている」と語っている。

「プロパガンダがなければウクライナに行くことはなかった」

タランキン氏は2024年6月、小学校の卒業式翌日に「トルコへ1週間の休暇に行く」と家族や同僚に告げ、7台のハードドライブに記録された映像を携えてロシアを脱出した。撮影データを無事に持ち出せるかで頭がいっぱいだった。

現在、タランキン氏は欧州のある場所で亡命生活を送っている。元同僚らとの連絡は制限されている。ロシア連邦保安庁(FSB)は務めていた小学校を訪れ、教師たちに「この人物は存在しない。この映画は存在しない。連絡も取るな、コメントもするな」と口止めした。

授賞式直前、タランキン氏は英BBC放送に「今日、教え子の一人が亡くなったと知りました。19歳のニキータがウクライナで亡くなったんです。彼は優しい子で、プロパガンダがなければウクライナに行くことはなかったでしょう」と教え子の死を打ち明けている。

なぜ一世代が攻撃的になったのかという問いへの答え