果たして、2人が意図してそのように操作したのか、それともすべては全くの偶然だったのか、この点については事故調の調査を待つしかありません。そもそも、コンマ数秒の微妙なブレーキの効き具合まで調査で分かるのかどうかも分かりません。ですが、結果的に2人のカナダ人パイロットは、自分たちが犠牲になって76人の生命を救った形になりました。
ちなみに、事故機の製造元は、近年三菱重工がボンバルディアから買収していますが、機材の欠陥を疑う声はありません。一方で、大破した機首から衝突の衝撃で100メートル近く吹き飛ばされた客室乗務員が、軽傷で済んでいます。この乗務員については、4点式のベルトで固定される強固な乗務員席ごと飛ばされたことで助かったことから、設計の優秀さが証明されたという声もあります。
客室乗務員が飛ばされていることもあって、避難の誘導はなく、72人の乗客の多くは自分たちで非常口を開けて避難したそうです。ただ、前述したように両翼の燃料タンクが無事で火災を免れたために、負傷した乗客も含めて全員が安全に脱出できています。この点については、2024年の羽田空港における日航機の衝突事故とはなりゆきが全く違います。そう考えると、亡くなった2人の操縦士が機首で犠牲になったことで、残りの全員が助かったというのはやはり奇跡的とも思えてきます。
それはともかく、TSAの問題で空の旅が憂鬱という声が広がる中、この事故が余計にそんな雰囲気を拡大しているのは事実です。また、カナダでは、関係悪化によりただでさえアメリカへの訪問客が減っているわけですが、今回の事故で余計にアメリカへの旅行を控えるムードが強まるのではと言われています。受け入れる側のニューヨークでも、今年に入って海外からの観光客減少に苦しむ中、更に事態が悪化するという懸念が出ています。
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