尖塔内部のような「高く、丸く、先が細くなる」場所は、用途を考えるのが特に難しい。さらに教会の多くは墓地に囲まれていて、不気味だと感じる人もいるから、住宅用に理想的とは言えない。

こうした元教会の1つの用途として、奇妙なことだが、パブやナイトクラブに生まれ変わることがある。何年か前にオックスフォードでこのパターンに出くわしたときは、かなり違和感を覚えた。ここで酒を飲んだり(僕のように)、大音量の音楽でダンスする人がいたり(これは僕はやらない)、いちゃついていたりするのは冒涜的に感じられた。

グラスゴーでパブ巡りをしたときは、元学校の校舎だったパブと元教会だったパブに行った。僕としては後者のほうが気に入った。前者は明るくモダンなガストロパブに改装されていて、あまり好みに合わなかったからだ。

俗→聖の逆パターンも

この話題を思いついたのは、僕の住む町にあったナイトクラブがモスクになっていたという衝撃の出来事があったからだ。かつてのその場所をしのんで言えば、よくありがちな18~25歳の若者対象ではなく年齢層高めの客層のための店だった。

あそこは「おばあちゃんを引っかける場所」だと若者が言っているのを耳にしたこともある。離婚してシングルになりたてなどの、なんと35歳くらいの女性と出会う場所、との意味らしい。

1980年代とか90年代とかの音楽が流れていて僕も楽しめそうだったから、「いつか」行ってみようと思っていた......でも、もはや行くことはできない。

そして僕が驚いたのは、ここが僕がこれまで見てきたのとは「逆の道」をたどったこと――ナイトクラブが礼拝の場に、特にアルコール御法度の宗教のための礼拝の場になったことだ。

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