そんな賞レースのルールの1つを塗り替えそうな動きが、今回日本から飛び出した。『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』である。期待されたアカデミー賞のノミネートはなかったが、注目されたのはゴールデングローブ賞だ。

ディズニーの『ズートピア2』や今年の賞レースを席巻する『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』などを含むアニメ映画賞の候補6作品の1つに『鬼滅の刃』が選ばれた。アカデミー賞やゴールデングローブ賞では、続編やシリーズ作品は受賞・ノミネートされにくい。映画芸術は作品単体で評価されるというのが共通認識だからだ。

実写映画で『アバター』や『スター・ウォーズ』のようなシリーズが幾つかの部門でノミネートされることはあるが、それでも映画だけのシリーズで話がまとまり、完結することが前提だ。

ところが今回の『鬼滅の刃』は3部作、しかもテレビを含めた長いシリーズの一部のエピソード。映画単体ではなく、テレビも含めた作品の広がりの理解が前提となる。ハリウッドが考える映画の概念とは異質だ。それが今回評価に値するとされた。

ゴールデングローブ賞は21年に選考会員の多様性の欠如が批判され、選考メンバーを大きく入れ替えた。その結果、多様な作品を選ぶ傾向が強くなり、現在は新しい潮流を先取りする傾向がある。映画単体ではなく、作品を取り巻く要素も含めた『鬼滅の刃』への評価が今後の潮流の1つになるのか。もしそうなら、日本アニメの評価はまた新たな場所に立ったことになる。

【動画】『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』北米版予告編