Takahiko Wada
[13日 ロイター] - 日銀の田村直樹審議委員は13日、基調的な物価上昇率について、日銀が目標とする2%に足元でおおむね達しており、物価目標と整合的な賃上げが行われることが高い確度で確認できれば「この春にも、物価安定目標が実現されたと判断できる可能性が十分にある」と述べた。
その上で、早すぎる金融引き締めでデフレ期やディスインフレ期に戻ってしまうのは避けなければならないが、「『緩やか』とは言えない物価上昇を続けることも避ける必要がある」と語り、適時・適切な利上げが必要だとの認識を示した。神奈川経済同友会での講演で述べた。
田村委員は、最近のインフレが「内生的、粘着的」なものに変化してきていると指摘。物価目標と整合的な賃上げが実現すれば3年連続となるが、賃金や価格設定を巡る企業の姿勢の変化や企業・家計の予想物価上昇率の変化は「今後、大きな外的ショックが生じない限り、わが国経済に構造的に組み込まれていく公算が大きい」と語った。
基調物価の2%目標達成時期について、日銀の展望リポートは2027年度を最終年度とする「見通し期間の後半」としているが、田村委員はそれより早い時期の達成を主張し続けてきた。
田村委員は講演で、物価の基調はじわじわと上昇してきており、2%に定着したと判断できる状況が「もうすぐそこに来ている可能性がある」とも述べた。
為替円安については「輸入物価を通じて国内消費者物価に与える影響度合いが高まっている中で、足元では再び円安傾向にあることから、今後の物価動向には注意が必要だ」と話した。食料品の価格上昇については、一時的な供給要因によるところが少なくないが、輸送費や人件費、気候変動に伴う天候不順などにより「値上がり品目が後退しつつも、全体として高めの価格上昇が続く可能性がある」と述べた。
24年3月以降、日銀は段階的に利上げを進め、昨年12月の利上げで政策金利は0.75%と30年ぶりの高水準になった。田村委員は「これまでのところ、日本経済全体への影響は極めて限定的だ」と指摘。「中立的な金利水準まではまだ、かなりの距離がある」と話した。
メガバンク出身の田村委員は、自身の経験をもとに、政策金利が「1%を超えたあたりから景気刺激効果が徐々に弱まり始め、中立金利を超えてから徐々に景気抑制効果が強まっていく」と述べた。従来から、中立金利は「最低でも1%程度」とみてきたが、精緻な推計は難しく「実際のところ、中立金利が1%以上のどの辺りにあるのかは、政策金利を引き上げつつ、経済・物価の反応を見て探っていくしかない」とした。