<大き過ぎてつぶせないし、救済もできないイタリア――破滅への道を歩む選択肢は市場が認めない?>

イタリアでは46年以降、64の内閣が誕生した。内閣の「平均寿命」は410日間。直近のジェンティローニ内閣は530日以上続いたから、そろそろ交代の時期ではあった。

3月の総選挙では、戦後の内閣を担った政党全てが敗北。ポピュリズム政党「五つ星運動」が第1党となり、極右「同盟」と連立政権を樹立するかと思われた。

だが両党がユーロ懐疑派のパオロ・サボーナを財務相に充てようとしたところ、マッタレッラ大統領が承認を拒否し、別の人物の任命を求めた。同盟側がこれに難色を示したため、再選挙の実施もやむなしと思われた。

しかし5月31日、事態は急展開する。マッタレッラは、五つ星と同盟の推すフィレンツェ大学教授のジュセッペ・コンテを次期首相に再指名。コンテの閣僚人事も承認した。財務相にはトルベルガタ大学(ローマ)の教授であるジョバンニ・トリアが就任。こうして2つのポピュリズム政党による連立政権が発足し、政治の空白に幕が下りた。

だが、イタリアをめぐる懸念が消え去ったわけではない。その1つがユーロ離脱の可能性だ。

イタリアの有権者は分裂が著しいが、ユーロ支持派は依然として多い。彼らはエリート政治家を嫌うかもしれないし、EU本部にあれこれ言われるのを嫌うかもしれない。あるいはポピュリスト政党に投票するかもしれない。だがユーロ離脱に大きく振れることはない。ポピュリストたちも、それを知っている。

しかし、イギリスのEU離脱を誰が本気で予想していただろう? もし予期せぬことが現実のものになったら? 最近の市場の動きは、イタリアがユーロ圏を離脱したらどうなるかを明確に示している。

国債利回り急上昇の意味

指標として注目されるのは、2年物国債の利回りだ。今年初めはマイナス0.137%。イタリア国債を1000ユーロ買えば、2年後に約997ユーロ戻ってくるということだ。イタリア国債の格付けは非常に高いから、投資家は利回りがマイナスでも極めて安全な場所にお金を預けられるだけで満足だった。

利回りは総選挙でのポピュリスト政党の勝利を受けてわずかに上昇したが、マイナスであることに変わりはなかった。五つ星と同盟が5月初めに正式に連立樹立に同意してからも、2年債の利回りはマイナス0.151%だった。だが5月29日には一時、10〜12年のユーロ危機以降の最高値を大幅に更新するプラス2.83%に達した。ユーロ離脱の可能性がわずかでもあると投資家が見なした証拠だ。

大き過ぎてつぶせない