研究では脳の大きさだけを取り上げ、認知能力の低下は分析の対象としなかった。20年後の体力測定やMRI検査の時点における参加者の平均年齢は58歳で、認知症の兆候を示すには若過ぎたというのが大きな理由だ。
スパータノらの論文は、運動は脳の健康にもいいという近年の専門家の意見を裏付けるものでもある。14年に発表されたある研究では、2747人の中年男女を対象に記憶力と認知力のテストを実施。高得点を取った人々は、さかのぼって25年前の心肺能力も高かったという傾向が見られた。
将来的には、運動不足が脳や認知能力にもたらす悪影響を、生活習慣の変化(定期的な運動など)によって解消できるかどうかを調べたいとスパータノは言う。
「10~20年後に同じ参加者について再び調査し、体力不足の人々の認知能力に低下が見られるかどうかをぜひ調べてみたい。MRIを使った脳スキャンもやり、脳の構造に変化があるかどうかも確かめてみたい」
<ニューズウィーク日本版特別編集『最新版アルツハイマー入門』から転載>

最新版アルツハイマー入門
最新サイエンス 発症した家族・友人とどう接するか
高齢化アメリカの介護の現実と大胆対策
2017年9月29日発売/816円(税込)
*上の画像をクリックすると外部の販売サイトが開きます。
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由
※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます