手を貸したのは日本

話はシンプルだった。

たとえば1991年12月に共産主義国家の砦であったソ連が崩壊した時に、米軍が韓国から引き揚げるチャンスはあったはずだ。そのとき中国は1989年6月4日の天安門事件で西側諸国からの経済封鎖を受け、政治的にも経済的にも不安定で壊滅状態だった。ベルリンの壁も崩壊して、共産圏の力は危険水域に達していた。

経済封鎖を続けていれば、中国はこれで崩壊しただろう。一党支配体制が瓦解する最大のチャンスだった。

それを阻止して中国を助けたのは、ほかでもない、わが日本である。

率先して経済封鎖を解き、天皇陛下訪中まで果たして江沢民を喜ばせた。江沢民の計算通り、西側諸国は日本に足並みを揃えて経済封鎖を解除。日米が競うように中国を経済支援した。

こうしてビクとも動かない経済強国、中国ができ上がり、日本に歴史カードを突き付け、北朝鮮に関しては肝心なところで「これまでにない最強の制裁」を取り崩している。

日本政府はアメリカに対する、そして一部のメディアは日本政府に対する「忖度」から、何も言わない。敗戦国日本の哀しさを、今もひきずっている。

国連安保理やアメリカを褒めたり、北朝鮮の核やミサイル技術がどこまで行っているかとか、日本がやられるかとか、末端の部分の議論に焦点を当てて燃え上がり、問題の根源が見えないようにしている。目つぶしを食らわしているのだ。

これによって得をするのは誰なのか――?

こんなことで、本当に日本国民の安全を守れるとでも思っているのか――?

日本政府と一部のメディアの良心に問いたい。

(これらの詳細は『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』の第3章に書いた。)

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[執筆者]遠藤 誉 1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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