西村はこの日、午後4時に運転手アプリを起動し、15秒で来たリクエストをアクセプトして走り出したものの6分後に客から「キャンセル」の通知が来た。客を拾うまでにかかる時間として乗客・運転手双方のアプリに表示されていた「6分間」が経過すると、その瞬間にキャンセル。

ウーバーの規定では、乗客がウーバーを呼んでから5分以内にキャンセルした場合、キャンセル料は発生しない。5分を過ぎてからキャンセルしても、ウーバーの到着が遅れたなどの場合は運転手側がキャンセル料をチャージしないこともあるし、運転手が到着した場所で客から2分以上待たされた場合は、運転手側が客にキャンセル料をチャージすることもできる(チャージしないという選択肢もある)。

この時は、乗客が支払ったキャンセル料5ドルのうち、ウーバー側の取り分2ドルを差し引いた3ドルが西村の収入になった。

その後の30分間は、1人も客を拾えなかった。

6分後にキャンセルされて、数十秒でまた次のリクエストは来る。アクセプトして数分走り、乗客が待っているはずの場所に到着しても「シェリー」という女性らしき乗客の姿は見当たらない。数回電話をしても出ないし、車を停めていられるような場所ではなかったので、今度は西村がキャンセルして走り出した。

またすぐにリクエストの通知が来たのでアクセプトするのだが、走り出して数分後には乗客からキャンセル。この後も同じやりとりを数回繰り返しながら、空車の状態で30分が経過した。「マンハッタンはすごいよ。5分くらいしか(乗客が)待てないから」と西村は苦笑する。

ウーバーはサービス業、「仕事帰り?」と話し掛ける

結局、1人目を拾えたのは4時35分。マンハッタンのミッドタウンイーストで、「スザンヌ」という若い女性が乗車してきた。行き先はダウンタウン。車をスタートさせると、西村は後部座席のスザンヌに「仕事帰り?」と慣れた感じで話し始めた。スザンヌも、「サンフランシスコからニューヨーク在住の夫に会いに来ているの。今からビアガーデンで、夫や友人たちと待ち合わせ」とにこやかに返す。

第三者としてウーバーに乗って観察していると、ウーバー運転手とは「しゃべり」を含めたサービス業だということが分かってくる。乗客は降車した後にウーバー運転手をアプリ上で「評価」できるようになっていて、評価(つまりクチコミ)が低い運転手は乗客からお払い箱にされてしまうからだ。

実は、ウーバーの運転手になることはそれほど難しくはない。ウーバーの運転手は「社員」ではなく「登録制」で、各種テストを突破して初期費用を支払うなど、いくつかの条件を満たせば外国人でもなれる(ウーバーへの登録自体は無料。西村の場合、講習料や保険料など、初期費用が約2500ドルかかった他、新車を購入したのでその代金も発生した)。

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