日銀は28日の金融政策決定会合で、物価が目標とする2%に達する時期を先送りする一方、現行のマイナス金利付き量的・質的金融緩和(マイナス金利付きQQE)の据え置きを決めた。熊本地震の被災地の金融機関に対する総額3000億円の支援オペを導入する。

 日銀はこれまで、物価2%目標の達成時期を「2017年度前半ごろ」と見込んでいたが、同日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で「2017年度中」に先送りした。経済・物価の先行きについても「下振れリスクが大きい」との見解を示した。

 一方、金融政策は、マネタリーベースを年間80兆円増加させる市場調節方針を維持。長期国債や上場投資信託(ETF)などの資産買入額、当座預金残高の一部に適用している0.1%のマイナス金利幅もそれぞれ据え置いた。

 9人の政策委員のうち、マネタリーベース目標と資産買入方針について木内登英審議委員が反対。マイナス金利には佐藤健裕委員と木内委員が反対票を投じた。

 会合では、熊本地震における被災地の金融機関を対象に、復旧・復興に向けた資金需要に対応するため、被災地金融機関支援オペレーションの導入を全員一致で決めた。貸し付け総額は3000億円で、金利はゼロ%。貸付残高の2倍が当座預金残高のゼロ%適用となり、マイナス金利の対象にはならない。

 展望リポートでは、物価動向に関して「賃金の上昇を伴いつつ、物価上昇率が緩やかに高まっていくメカニズムは着実に作用している」と指摘。もっとも、これまでの賃金の改善程度は鈍いとし、「労働分配率も低下傾向を続けている点には留意する必要がある」との見解を示している。

 先行きの金融政策運営について、2%の物価安定目標の実現に必要な場合は「量・質・金利の3つの次元で追加的な金融緩和措置を講じる」との方針をあらためて示した。

 (伊藤純夫 竹本能文)

[東京 28日 ロイター]
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