コ・クリエイションの成果を積み上げる

 これら5つの原則はGEが提唱しているもので、まだ生まれたばかりの新しいものである。コ・クリエイションの手法そのものは目新しいものではないが、これを産業という文脈に取り入れること、大規模な成熟企業に適用すること、ノンデザイナーもプロセスに参加してステークホルダー間のギャップを狭めることは画期的である。

「そしてもう1つ重要なのは、コ・クリエイションを活用したデザイン手法がもたらす成果を循環させることです」とラウ氏は説く。

 まずはデザインが組織の中でより多くの場所に統合される。そうすると、チームは今までなかったものをコ・クリエイトすることになる。すると、そのコ・クリエイションから新しい関係が作られ、新しいコラボレーションが生まれる。そしてこの新しい手法をより多くの人が使えるようになる。そうすると、デザインがより多くのタッチポイントを改良することになる。インパクトが増えれば、循環の最初に戻って、組織内でデザインが使われる場所がさらに広がっていくというわけだ。

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5つの成果を積み重ねることで、より高度なデザインが実現する。(ラウ氏提供の図版を元に作成)

日本企業の顧客満足を追求する姿勢は強みとなる

 ここで紹介した内容はGEのコ・クリエイションに向けた取り組みであり、世界的にまだ新しい手法である。ラウ氏は、日本企業に対して新鮮な視点を提供することにつながれば本望だという。

「デザインの観点から見て、日本の文化には興味深い要素があります」(ラウ氏)。ユーザーに心地よさを提供することに重きを置くビジネスのあり方は日本特有のものだろうが、慣れてしまうと素晴らしさを認識できなくなる。周りを見回して、どんなにいい経験を自分自身が持っているのか、そしてその中にどんなサービスの要素が組み込まれているかを意識して、モノづくりを始めとする種々の産業に生かしてみてはどうかというのがラウ氏の提案だ。

 日本の企業が顧客満足と価値提供の担い手であるワーカーの満足を追求していけば、さまざまな分野で良質のサービスデザインを作り出すことができるだろう。「その優れたサービスデザインで世界にポジティブな変化をもたらすことができると信じています」(ラウ氏)。

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(2016年1月23日に横浜で開催された「Service Design Japan Conference 2016」の内容およびメールでの質疑応答を元に構成)

text: Yoshie Kaneko

photo: Kei Katagiri

wsRau_site.jpgゼネラル・エレクトリックは世界最大の機械、重工業メーカー。航空、医療、鉄道、エネルギー、家電など幅広い分野で事業を展開。設立は1892年。本社はアメリカ・コネチカット州。
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カトリーヌ・ラウ(Katrine Rau)GE シニアUXリサーチャー。ヘルスケアやリテール、通信など、さまざまな分野のコンサルティング業務を経て現職。事業目標を特定し、サービスのイノベーションを通じてユーザー課題の解決へ向けた支援を手掛ける。GEでの業務を通じて世界最大のエネルギー事業に貢献。
※当記事はWORKSIGHTの提供記事です
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