<他民族を排してナショナリズムを高めるエルドアン大統領の政策は見事に浸透している>

トルコにエルドアン政権が誕生して16年、政府と与党・公正発展党(AKP)は過激なナショナリズムと原理主義的なイスラムの教えを扇動して政治力を高めてきた。

2019年10月にシリア国境沿いで行われた戦闘もその一環だ。シリア難民を移住させる「安全地帯」をつくるという大義の下、トルコ政府がテロリストと見なすシリア北部のクルド人民兵組織、人民防衛隊を容赦なく攻撃した。

170人の犠牲者と30万人以上の避難民が出たが、国境地域のトルコ住民は政権と同様、クルド人をテロリストと信じて疑わず、この戦闘を強く支持していた。他民族を排してナショナリズムを高めるレジェップ・タイップ・エルドアン大統領の政策は、見事に浸透している。

トルコに移り住んだ写真家エマヌエーレ・サトーリは、政権に反発する世俗主義者の姿も含め、この国で起きている歴史的変化を追っている。彼が「新スルタン」と呼ぶ現代の絶対君主エルドアンが残した血なまぐさい足跡をたどりながら。

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南東部アクチャカレで綿花農場の傍らを通過する軍事車両。シリア北部と国境を接するこの地域では10月からクルド人勢力の掃討を目的とした攻撃が続いていた
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南東部ディヤルバクルのクシュヌモスクは世界遺産にも登録されているが、クルド労働者党(PKK)支持者とトルコ治安部隊の戦闘で被害を受けた(2015年)
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イスタンブールで初めて開催された「控えめなファッションウイーク」で、モデルの女性が保守的なイスラム教徒向けの服を着てポーズを取る(16年5月)
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植毛手術を受ける男性(イスタンブール、15年)。トルコの植毛産業は10億ドル規模で、顧客の多くがサウジアラビアやクウェートなどのアラブ諸国からやって来る