<セクハラを「相談したのに無視された」女性の視点から全編作り上げた、秀作について>

映画界の性的ハラスメントに切り込んだキティ・グリーン監督の新作『アシスタント』がアメリカで公開されたのは、2020年1月31日。くしくも、かつての大物映画プロデューサー、ハービー・ワインスティーンの裁判が本格化し始めたときだった。

この映画のきっかけとなったのは、ワインスティーンの性的暴行に対する数々の告発を元に17年に巻き起こった#MeToo運動。多くの女性が身を置いている、心をむしばむような労働環境を真正面から取り上げた。

「そうしたテーマの映画がこんなに早く作られるなんて思っていなかった」と、主人公のジェーンを演じたジュリア・ガーナーは全米公開時に本誌に語った。

ジェーンは大学卒業後、映画プロデューサーを目指して映画製作会社に就職する。アシスタントとして地味な仕事を続けるうちに、上司の行動に疑問を抱き始める。上司は映画の中で顔を出さないが、ワインスティーンをモデルにしているのは明らかだ。

ジェーンは社内で目撃したハラスメントや女性蔑視を、人事担当に報告する。だが人事は、耳を貸さない。

「作品のためにインタビューした多くの女性たちは、人事に相談したのに無視されたと言っていた」と、グリーンは語る。女性へのハラスメントが常態化していることに「ショックを受けた」と、彼女は言う。

「みんな同じような経験をしていた。女性たちの尊厳がこんなにも踏みにじられているなんて、信じ難かった」

本作で特筆すべきなのは、全編が女性の視点を通して描かれていること。これはグリーンが狙った演出だ。

「女性が真ん中にいる映画を作りたかった。特に、企業内ヒエラルキーの最下層にいて、非力な女性を。悪い男たちは、もう映画の中で十分に描かれてきたから」

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