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『くるみ割り人形』の舞台中でも特に素晴らしい「雪のワルツ」のシーンは苦痛だらけ KEVIN SULLIVANーDIGITAL FIRST MEDIAー ORANGE COUNTY REGISTER/GETTY IMAGES

頭痛のタネのティアラ

同じ演目を毎年繰り返すことには利点もある。バレエ団のダンサーは大抵、本作の役はどれも経験しているから、誰かが病気やけがで突然降板しても代役は簡単に見つかる。

踊ったことのない役があるかと質問すると、コロンビアシティ・バレエ団のプリンシパル、ボニー・ボイタージョリーは考え込んだ。「ネズミの王様はやったことがない。でも、ネズミ役は経験済み」

サンフランシスコ・バレエ団所属のべンジャミン・フリーマントルも同様だ。「誰でも、それなりにこなせると思う。どの役を振られても、ある程度のことはできるはず」

水膨れやマメはこの時期の風物詩であり、ダンサーにしてみれば、わざわざ愚痴を言うまでもないことだ。「長い時間トーシューズを履いているから、出来て当然」と、NYCBのアレクサ・マクスウェルは話す。

華麗な衣装や髪飾りは観客の目の保養だが、ダンサーにとっては文字どおり頭痛のタネだ。マクスウェルはNYCBに入団後、初めて『くるみ割り人形』の公演に臨んだ際、雪の精のティアラがずれないよう神経質なほど気を使っていた。「ヘアピンを50本ぐらい使って留めていたから、いつも頭が痛かった」

そこまでしても、災難が避けられないときもある。「ピンを山ほど使ってもちゃんと固定できていなくて、踊りが終わる頃には(ティアラが) ピン1本でぶら下がって、顔から突き出していた。すごく恥ずかしくて、解雇されるだろうと思った」

だが、バレエダンサーは同じ間違いをめったに繰り返さない。「今ではピンは7本だけ。どこにどう留めたらいいか分かれば、最低限で済む」

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