<重病ではないが本人には悩みの種。アクネ菌が産生する毒素を狙い撃ちしてニキビを予防するワクチン開発が見えてきた>

二キビは命を脅かすような症状ではないが、隠そうとしてもなかなか隠し切れないだけに、心の健康にはかなりの影響を与える。ニキビだらけの肌は不安や自尊心低下をもたらし、極端な場合は鬱や自殺願望さえ引き起こす。

ニキビが多くできるのは、心と体、そして社会性の発達にとって重要な時期である思春期。しかも、大人になっても新たなニキビとニキビ痕に悩まされる人も少なくない。

そんな人々に朗報が届いた。ニキビを予防するワクチン開発の可能性が見えてきたのだ。

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専門誌ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジーに2018年8月末に掲載された研究によると、肌の細菌が産生する毒素を攻撃する抗体によってニキビの炎症を抑制できるという。

「大規模な臨床試験で効果が立証できれば、ニキビに悩む人々に多大な影響をもたらす」と、研究を率いた米カリフォルニア大学サンディエゴ校のチュンミン・ホアン(皮膚科学)は言う。

現行のニキビ治療法はレチノイドや抗生物質の投与などが主流だが、これらはしばしば効果が薄い上に乾燥肌や炎症、鬱などの重い副作用を引き起こすこともある。

研究チームによると、未来のニキビワクチンは、多数ある皮膚の常在菌の1つで、ニキビの原因と言われているプロピオニバクテリウム・アクネス(アクネ菌)を標的にする。この細菌の産生するCAMP因子と呼ばれる毒素が組織に炎症を生じさせ、ニキビを悪化させる。

そこで研究チームは、CAMPに特化して攻撃する抗体(病原体を無効化した免疫細胞)を用いたワクチンを開発。ラットの体内だけでなく、培養された人間の皮膚でも炎症を抑制する効果が確認された。つまり、CAMP因子を狙い撃ちすることで、ニキビ治療の発生と悪化を防げる可能性があるわけだ。

アクネ菌はニキビの元凶と言われがちだが、健康を保つのに不可欠な肌の多種多様な常在菌の均衡を維持するのに重要な役割を果たしている。例えば、ほかの病原体の侵入を防いだりする機能もある。だからこそ、アクネ菌を標的にする治療法は肌の常在菌のバランスを崩さないことが大切だと、スイス・チューリヒ大学のエマニュエル・コンタソトは言う。

「CAMP因子標的ワクチンがさまざまなタイプのアクネ菌に効果があるかどうかはこれから実証すべきだが、興味深い一歩であることは間違いない」

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