「かき氷を通して和菓子に触れてもらいたい」

同店でメニュー開発を手がけるのが、10年前から喫茶担当として働く江良保正さん。「女将さんと相談しながら、ちょっとずつメニュー開発を進めてきました。今では、年間30~40種類を出すようにしています」と江良さん。氷にそら豆を濾した餡をかけた「そら豆ずんだ」など、あくまでも和菓子の範疇で、かき氷の新たな味わいを模索し続けている。

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東京・目白にある「志むら」の「そら豆ずんだ」は850円。「宇治金時」などの定番もあり、シロップにいちごの果肉が入った「生いちご」も人気。どれも、プラス100円で南アルプスにある八義の天然氷を選べる Photo:廣川淳哉
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1939年創業の志むらの1階は、和菓子を販売する店舗スペース。看板商品は「九十九餅」。オリジナルシロップを使用したかき氷は、2階、3階の喫茶スペースで食べられる Photo:廣川淳哉

氷に添えた白玉は、看板商品の和菓子「九十九餅」と同じ白玉粉を使ったもの。「かき氷を通して、若い人にも和菓子に触れてもらいたい」と語る老舗店の和菓子職人もまた、かき氷ブームの立役者のひとりだ。

昨今のかき氷ブームについて尋ねると「間違いないのは、写真を撮って、ネットに上げたくなる見た目。うちは盛り方が特徴的で、通称、ガケ盛りと呼ばれています」。

志むらの「そら豆ずんだ」や「生いちご」などに見られるガケ盛りは、重量があるシロップを氷にかけると氷が沈んでしまうことから生まれた、独自の盛り付け方。ついレンズを向けたくなる、大胆なビジュアルだ。

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日本かき氷協会の小池代表が「氷にかけるシロップはもはや、ソースと呼んだほうがしっくりくる」と語るように、SNSとの相性が抜群によく、かき氷を年中食べられるスイーツへと押し上げた濃厚なシロップこそが、近年のかき氷ブームの火付け役だ。

はたして、かんなの「あずきマスカルポーネ」や、志むらの「そら豆ずんだ」にかけられたオリジナルシロップはどんな味がするだろうか? その味わいを確かめる術は、行列覚悟で店を訪れる以外にない。

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