私の故郷フランスとはあまりに違う。フランスの平均退職年齢がおよそ61歳であるのに対し、日本人は68歳を超えても働き続ける。フランスの議会は年金支給開始年齢の引き上げを凍結し62歳9カ月に据え置くことを議論をしているが、日本人は100歳まで働くことを奨励される。

だが驚くべきは労働時間の長さより労働力の無駄遣いで、私はこれを「生産性パラドクス」と呼ぶ。生産性の向上が必要になればなるほど、日本の生産性は落ちる。

本来、労働人口が縮小すれば労働者1人当たりの生産性は上がるはずだが、日本では急激に落ちた。OECDによると2000年にアメリカの70%だった生産性が、今は60%を割っている。

外国人の目に、今の日本は「不思議な仕事の見本市」と映る。高い能力を持つ人々がスマートフォンで読める新聞を配達し、案内板や看板を持って立ち、キャッシュレス決済を普及させれば不要になる現金を自動販売機から回収・補充して回る。

厚生労働省の推計では8万5000人近くが雑踏・交通誘導警備員で、その多くが60歳以上。猛暑でも大雪でも彼らは低賃金で工事現場などに立ち、よその国には存在しない無意味な仕事に従事する。

労働力の無駄遣いの中でも目に余るのが、無用な仕事や座ってできる仕事を立ちっ放しでする人々だ。毎朝私は通勤時に防衛省の前を通るが、ゲートには14人もの警備員が立ち、公用車が来るたびに世話を焼く。まるでミュージカルの一場面だ。

単純労働に縛られる高齢者を見ると......