<未熟な個体を狙い撃ち>

研究者たちは、このシャチの群れが近隣に存在するホホジロザメの「保育場」を利用している可能性があると見ている。「保育場」にいる経験の浅い小型のホホジロザメを効率的に捕食しているのではないかと考えているのだ。

「シャチが若いホホジロザメを繰り返し標的にしているのを確認したのは、今回が初めてだ」と、論文著者でカリフォルニア州立大学の海洋生態学者サルバドール・ヨルゲンセンは述べた。

「成体のホホジロザメは、シャチによる狩りにすばやく反応する。シャチが集結するエリアから完全に姿を消し、何カ月も戻ってこない。しかし、若いホホジロザメたちは、シャチに対して無知である可能性がある。ホホジロザメの捕食回避行動が本能的なものなのか、学習によって身につけるものなのか、我々には分からない」

モクテスマの群れは、エイ類のほか、イタチザメやジンベエザメを狩っている様子が観察されている。シャチは経験を通じて狩りの技術を学ぶことが示唆された。

「サメやエイといった板鰓類(ばんさいるい)を食べるシャチであれば、ホホジロザメを狩ろうと思えば、どこででも狩ることができるだろう」と、ヒゲーラ・リバスは言う。

「シャチの高度な知性、戦略的思考、そして洗練された社会的学習の証左だ。こうした狩猟技術は群れの中で世代を超えて受け継がれている」

【参考文献】

Higuera-Rivas, J. E., Pancaldi, F., Jorgensen, S. J., & Hoyos-Padilla, E. M. (2025). Novel evidence of interaction between killer whales (Orcinus orca) and juvenile white sharks (Carcharodon carcharias) in the Gulf of California, Mexico. Frontiers in Marine Science, 12.

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