<アルコールを摂取すると酩酊状態になるなど、生存には不利に見えるが、実は合理的な理由があるようだ>

人間がお酒を飲みたがるのは、進化に根差した欲求なのかも──9月中旬に科学誌サイエンス・アドバンシズで発表された新たな研究が、そんな可能性を浮き彫りにした。

この研究では、「人類に最も近い現生生物」であるチンパンジーの食行動を、ウガンダとコートジボワールの生息地2カ所で観察。発酵した果物を摂取するチンパンジーは「1日当たりグラス2杯分のワイン」に相当するアルコールを消費していることが分かったと、同研究の共著者で、カリフォルニア大学バークレー校総合生物学教授のロバート・ダドリーは本誌に語る。

【動画】1日にグラスワイン2杯分の熟した果物を摂取しているチンパンジー

人間はなぜアルコールを好むのか。チンパンジーの果物によるエタノール(つまりアルコールだ)摂取量を初めて定量化した今回の研究が、説明の1つになるかもしれない。人類のアルコール嗜好は「進化に際して、動物が自然界で摂取する果物とエタノールを関連付けたことに由来する可能性がある」と、ダドリーらは指摘している。

チンパンジーのエタノール摂取は、ダドリーが提唱した「酔っぱらいのサル」仮説の裏付けになる。人間のアルコール好きは、遠い祖先の行動を起源とするという説だ。

進化が残した二日酔い
【関連記事】