その梅棹さんは、博物館を「モノと対話する場所」と言っています。対話に正解はありません。しかも「ヒト」ではなく「モノ」との対話なのだから、かっこつけることも、人目を気にすることもない。展示の前で湧き上がってくる疑問や感情、素朴な感想から、モノとの対話ははじまっていきます。

「これは、何?」からはじまる対話

たとえば民博の本館展示場の入り口では、巨大な顔面が入館者を出迎えてくれます。その額には前髪がかかっているんですが、よく見ると髪の毛ではなくて蛇です。意味不明。全然怖くなくて、なんともゆるい表情です。展示パネルには、こう書かれています。

「これは、何?(What is this?)」

「何って......顔やん?」と、思うわけです。でも、すぐに「何のための顔?」と考えはじめていることに気づくんです。考えはじめたとき、鑑賞者はすでに展示物との対話をスタートしています。「なぜ?」「何?」「わからない」という疑問が、博物館を楽しむための最強のツールとなります。

博物館としての民博の仕掛けがおもしろいのは、本館展示の入り口にこうした禅問答みたいな展示がいくつか並んでいることです。わかったようなわからないような問答を自分の中で繰り返すうちに、自然と「モノと対話する姿勢」のようなものが整っていきます。

独特の露出展示の理由
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