東日本の解体業はクルド人労働者への依存度が高い

ここではそこに焦点を当てるが、最初に明らかにしておきたいのは、本書のスタンスである。クルド人に対して差別的だとか、いわゆるヘイト本だとは思わない。著者自身もニュートラルなスタンスであることを明記しているし、クルド人側に取材を試みたりもしている。

しかし、例えば親クルド派の川口市市議会議員や人権団体など、ほかにも取材先候補はあったはずだ。したがって、そういったことを念頭に置くと"完全に中立的"であるとは言いづらいかもしれない。だが、それでも実態の概要を知るうえでは役に立つだろう。

現在、特に東日本の解体業はクルド人労働者への依存度が高いという。日本人は肉体的にハードで危険な解体業をやりたがらないため、慢性的な人手不足が続く。そこにクルド人が参入した。

川口市北部の赤芝新田は、面積0.366平方キロメートル、世帯数約170、人口約330人(2024年10月川口市調査)の小さな町。

市街化調整区域(市街化を抑制すべき地域)に指定されており、無秩序な宅地化を防ぐため、原則として住宅や商業施設を建てることができない。公的に必要な用途など使い道が限られていて、現実的には田畑にするしかないようだ。

そうした状況に、解体業を営むクルド人たちが注目したのは当然かもしれない。赤芝新田の土地を借り、ヤード(廃材を置く場所)として使うようになったのである。


 このヤードが問題視されている。赤芝新田は市街化調整区域なので、市内のほかのエリアと比べるとインフラが整備されていない。廃材を高く積んだトラック、通称クルドカーが狭い道を飛ばしていく。交差点を曲がり切れず、住宅の塀や電柱にぶつかっていく。トラックは廃材や金属類を落下させる。路面はガタガタになる。(62ページより)

地主とクルド人は、持ちつ持たれつの関係にある?
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