<ベトナムは南沙諸島で人工島建設を加速させているが、中国の反応は意外にも強硬ではない>

南シナ海で複数の国による領有権争いの舞台になっている南沙(スプラトリー)諸島で、ベトナムが人工島の建設を加速させている。

米有力シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の「アジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)」が8月に発表した報告書によると、ベトナムは「今年に入って、2021年に開始した埋め立て活動の対象にこれまでなっていなかった8カ所で人工島建設を開始している」という。

これにより「南沙諸島でベトナムが実効支配している21カ所の岩礁や低潮高地(満潮時には水面下にある陸地)の全てで人工島が建設された」ことになる。そうした岩礁などの数は、4年前には11カ所にとどまっていた。南沙諸島は、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイが全域もしくは一部の領有権を主張している。

AMTIによれば、今年3月までの時点でベトナムが南沙諸島に建設した人工島の面積は、既に中国のおよそ7割に達していた。今回の新たな8カ所を加えると、ベトナムの人工島の面積は「ほぼ確実に中国に肩を並べ、さらには中国を追い越す可能性が高い」と、AMTIの報告書は結論付けている。

具体的には、人工衛星画像の分析で、ベトナムが「これまでコンクリート製の小さな箱状の構造物しか設置されていなかった」5カ所──アリソン礁、コリンズ礁、イースト礁、ランズダウン礁、ペトリー礁──でしゅんせつと埋め立てに着手したことが明らかになった。

「既成事実」を積み重ねようとするベトナム