<米ロ首脳会談などを受け、停戦への期待がささやかれるウクライナ戦争。しかし防衛研究所の兵頭慎治氏は、和平プロセスはまだ「0合目」で、交渉の面でもロシアのペースになりつつあると動画で解説する>

今月15日には米ロ、18日には米ウクライナ+欧州各国と首脳同士の会談が相次いでも、現状は登山に例えるなら0合目――。和平交渉を本格的に始めるための「登山口」に着いたに過ぎない、と防衛省・防衛研究所の研究幹事で東北大学客員教授の兵頭氏は説明する。

加えて、ロシア側には「ただちに停戦をしなければいけないという理由がない」という事情もある。戦況がロシア側に有利な上、ロシアのプーチン大統領が掲げる「紛争の根本原因の除去」、すなわちウクライナの非ナチ化、中立化、非武装化という戦争の目的が達成されていないからだ。

ロシアがウクライナ東部ドンバス地方の割譲を停戦条件に挙げているとの報道もあるが、兵頭氏はこの要求の本気度に疑問を呈する。ウクライナにとって国土の割譲は憲法上も政治的にも「あり得ない」選択肢であり、ロシアはそれを「ある程度見込んで、要求を出している節がある」という。

ウクライナが到底受け入れられない要求を突きつけることで「根本原因」に関して譲歩を引き出すなど、時間を稼ぎつつ交渉を有利に進めるための「クセ球」との見方だ。

また、ロシアが容認するとされるウクライナのNATO(北大西洋条約機構)に近い安全の保証についても、加盟国の集団的自衛権の行使が規定されているNATO第5条のようなものではなく、実態を伴わないものに終わる危険性を警告。1994年にウクライナの安全を英米ロが約束しながら反故にされた「ブダペスト覚書」の二の舞になりかねないと語る。

事務方の調整を後回しに大枠を決めるトランプ氏のトップダウン外交が今後も展開されれば、実効性のない合意が結ばれるリスクが高まるとの分析だ。

動画ではこのほか、ロシアの継戦能力が来年ピークアウトした後のシナリオや、米ロなどの大国が勢力圏を切り分ける「新ヤルタ体制」が現実となった場合に日本が果たすべき役割など、幅広い分析が展開されている(これは動画の抜粋記事です。詳しくは動画をご覧ください)。

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