中国の狙いはアメリカの信頼を失墜させること?

中国はパレスチナ問題に関する外交活動を通じて、アメリカの中東における信頼を失墜させ、中東における中国によるイニシアチブを強めようとしている。

ガザ地区における人道危機と、それに対するアメリカによる支援物資分配の仕組みに対するアラブ諸国の不満を背景に、イスラエルを支持するアメリカに対抗しようとしているのだ。

中国はパレスチナ紛争発生直後の2023年11月20日、アラブ諸国およびイスラム諸国の外相によるハイレベル会合を開催した。その中では、イスラエルとハマスの戦争についての協議も行われ、王毅(ワン・イー)外相がパレスチナ支持を表明している。

これは、中東でアメリカの信頼性が揺らぐ中、中国が紛争における主導権を握ろうとしている初期の兆候だったといえる。それ以降、米中両国はパレスチナ問題をめぐって国連などで対立し続けている。

チャタム・ハウスのアソシエイトフェローであるアフマド・アブドゥフは、2023年10月、「中国は、ハマスによるイスラエルへの侵入をテロ攻撃と明言することは避けている。一方、イスラエルの報復については『パレスチナ市民に対する集団懲罰』と表現している。(中略)中国の最終目的は、世界中のパレスチナ人への同情を利用して、アメリカの国際的な地位を低下させ、『国際世論を主導する力』を握ることにある」と、中国の狙いについて分析していた。

アメリカによるイスラエルとハマスの間での停戦交渉の仲介はうまくいっていない。今後、交渉の難航によって生じた空白を埋めるため、主要な湾岸諸国やアラブ諸国がパレスチナへの関与を強める可能性がある。

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